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ルシファー・エフェクトという本を見た。

ルシファーエフェクトという本を見た。
1971年のジンバルドー教授という社会心理学者教授が2週間の間
スタンフォード大学の地下に本物に近い監獄施設を作って
アルバイトの大学生18人を収容。
看守と囚人に分けてその心理状態を観察するという
世界一悪名高いと言われる実験。

映画化もされている

これは、死ぬほど厚い本で普通なら買おうとはなかなか思えないほどの厚さに見え
呼んでいる人も少ないんじゃないかと思う。レビューも少なめ。

しかしながら、これは昔から有名な実験で自分もこの実験の存在はなぜか知っていた。
でも、どのようなものかは知らなかった。

実験の予定は2週間だったが、実はこの実験。

わずか6日で中止となっている。

この実験を元に内容を過激にして映画化しているのが「エス(es)」という映画
結構楽しいみたいでレビュー評価も高い。今度見てみたい。

もう1本「プリズン・エクスペリメント」
こちらは実験を割と忠実に再現している感じでとてもシュールだそうだ。
レビューはあまり良くない。

本を見るのが面倒な方はこちらを見ると大体の内容を知ることができるだろう。

本を半分まで見た感想をざっくりと

実は私もまだ全部は見ていない。
図書館で借りたので来週までに返さないといけないのでがんばって読んでいるが、
全然ページが減らない笑

看守と囚人に学生を分けて本物さながらに監獄生活を送る。
ただし、暴力は禁止。

看守にはある程度どのように管理するかを自由に決めることができる。

結果

およそ36時間で
看守は看守の自覚ができ、囚人は囚人の自覚ができる。

3日目
囚人は仮釈放のためなら今までのアルバイト代を放棄して良いか?との質問に
多くの囚人が「少しの自由のためならお金はいらない」という結果になった。

5日目
かなり看守の虐待がエスカレートしていく。
囚人には失望感があるが、誰もそのアルバイト実験を止めようとはしない。

数人この間に釈放となるがほぼ、ストレス性の病気になって強制的に退場になるパターンであり、
誰も自分から正式にこのバイトを止めたいというものはいなかったのが興味深い。

そして6日目でこの実験が良くないと教授が奥さんに諭されて中止となるが、

結局、この教授自体もこの実験の魔力に取りつかれており、正常な判断ができていない
ということを客観的に振り返っている。

つまり、人は権力を持つと行使したくなる。
囚人は囚人で度重なる罰と嫌がらせを看守に受け、失望感が増し従順になり、
看守に逆らう囚人を恨むようにもなる。

印象深い言葉として

腐ったリンゴを普通のリンゴのカゴに入れると他のりんごも腐っていく。

と言う言葉があるが、この実験では

「腐った樽にリンゴを入れると、リンゴは腐っていく」

ということだ。

システムが人を悪にする。
権力が暴力をエスカレートさせる。

囚人は目先の自分の利益だけを優先して考えるようになる。
逆らうと毛布を奪われたり、睡眠時間を奪われたり、面会をさせてもらえなかったりする。
このために従順になる。

すごく人間の仕組みを知ることができて興味深い本であることは間違いない。

この本を読んで損はしないのでおすすめしたいところだが
見てて非常に疲れる本でもある。


その時間経過によっての心境の変化をそれぞれの人達が日記みたいに書き残しており、
その時どのような気持であったかがわかるので、好奇心満載で読むことはできる。

個人の資質か環境か?

私はタバコを吸う。

1980年には働いている男性の喫煙率は50%を超えていたのに
最近では30%程度になっている。

ハッキリとタバコを吸う人が嫌いだ!と言う人達も少なくない。

タバコについて何も言わなかった人達が急に嫌煙家になる時代。
私はなぜ人の意見がこうも簡単に切り替わるのかをずっと気になっていた。

第2次世界大戦では、戦争に徴兵されることを喜びとせねばならず
戦争に反対するものは「非国民」と言われ、周囲からも嫌われるし下手したら逮捕される。

このような通常考えられないようなことが普通に起こるのはなぜか?

その答えがこの本にあるように思えた。

人は1日半ですぐに環境に順応することができる。
そして3日も経過すれば自分の与えられた役割に自分が変化していく。
マインドが変化して5日も経てば、その考えはさらにエスカレートしていくということだ。

そこにシステムが加わることによって凶悪に人間を変化させることができる。

そして、その仕組まれたシステムに人間は抗うことは、非常に難しい。

これは、いじめられている現場を見た時にはっきりと

「それはダメなことだからしてはいけない」

などという学生がほとんどいないことからもわかる。

このような人物はまさしく「英雄」であり、
確率的にはほとんどそんな人はいないということがわかる。

人間がシステムの呪縛から抜け出すのは非常に困難だということが
ハッキリわかった。

人が残酷な決断を下すのは

その人個人の資質によるものか?
それとも、環境がそのような決断に至らせるか?

このような問いに答えを出してくれるのがこの実験の素晴らしいところだが、
もうこんな非人道的な実験が許されることはないとも思う。

一概に上記の問いに答えることはできないのは確かであるが

環境によって人は残虐になり得るし、眠っていた個人の資質が
環境によって呼び起こされるということもある。

しかし、環境やシステムに屈せず自分の意思を貫く「英雄タイプ」の人間は
少数ながらいるということも忘れてはならない。

このような人が革命を起こしたり、無益な差別を解決の方向に導くのだろう。


権力がなければ人をまとめることはできないが
権力は必ず「何か」をエスカレートさせる。

私は営業マンなので、この本は人の心理を知る上で非常に役立った。

本好きな人はお試しあれ!